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深夜のひとりごと #001

__『今日』の定義は何か。

 そんな問いを、わたしは日々繰り返している。ある人は今現在だと答え、ある人は昨日の次の日だと答えた。そしてまたある人が、日が昇ってから沈むまで、と答えた。

……日が昇って、沈むまで。

 おそらく当たり前であるはずのその光景を、「わたし」は見たことがない。

 この世界に太陽の光が届くことはない。それは今も、そしておそらくこれからも。

 ずっとずっと、空を見上げてきた。

 今も昔も、きっとそれは変わらない。

 わたしが見上げる空が、他の人の知る空色を描くことはない。

 ずっと、紺と紫が入り混じるだけ。星の輝きも見えない。

 こんなつまらない世界で、わたしのこころをつかんで離さないものがある。

 それが、月だった。

 自分が光っているわけではない。それでも、淡く美しい光で夜を照らす希望。わたしにはない、それでもあこがれてやまない光。

 それが、空に輝く瞬間を、わたしはひどく恋焦がれていた。

 

__そして、『今日』

 幾度目かもわからない今日を迎えた頃、わたしは空に輝く満月を見た。心が弾み、日課の散歩に出かける足取りも軽い。今日はきっと、いい日になるだろう。

 さあ、「物語」を進めよう。

 終わらない夜が、新たな今日が、わたしを待っている。

 今日は、まだまだ終わらない。終わらせたくない。

 

……このユメを、ニセモノになどさせやしない。

 

theme001『今日』

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